ぼくは一頃、ライブのできるバーを荻窪で運営していた。
一頃とても暇で、一頃メチャクチャ繁盛した。
暇な時期に、彼は来た。
彼は、フォークシンガーだった。
彼は、ぼくの生まれた十和田に近い八戸の生まれだった。
だが出会う場面は東京だった。
東京だと、なぜか、故郷の中の異郷の人と対話がうまく行く。
なぜか、そうなのだ。
それは世界中に起きていることだと思う。
彼に、
ある日、その一人の友人のフォークシンガーに、
「オレの故郷は、夕暮れの町なんだよ」、
と言った。
彼は、同じ青森県八戸市出身の男だった。
その彼に、
「オレの故郷は、夕暮れの町なんだよ」
すると、彼は、そばに置いたギターを歌いはじめた。
その歌について、明日話そう。
それは、夕暮れなのに、明日の話だから。
コメント