【抱きしめたい。 思い出、と片付けるには、 あまりに、抱きしめたい。】太素塚裏のエルピー LET IT BE!

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 1970年あたり。小学3,4年生のオラの家族は

1970年あたり。小学3,4年生のオラの家族は青森県十和田市の太素塚裏の平屋の家に暮らしていた。当時、新興住宅地のような様相だった近所には同年代の子供たちが大勢いた。家庭内にラジオからテレビ、冷蔵庫などの家電が増える時期だった。高度成長期に突入寸前。近所を歩いたり、自転車を走らせると、いろんな音が聞こえた。
太素塚裏には、いくつか大工の家があり、若い中卒の大工衆が住み込みで働いていた。大工衆は、当時流行りのグループ・サウンズの影響でロン毛が多く、またエレキギターを弾いたり、バンドを組んだりしていた。
ラジオかテレビかレコードの音か定かではないが、同じ音楽が、太素塚裏のどこからかいつも聞こえるようになってきた。日本語の歌謡曲にはない、不思議なうた声と演奏とともに、同じフレーズが何度も何度も流れてきた。オラたちの年代の男の子は、何だかわけも分からず、そのフレーズを真似して歌ったりして、ちょっとした流行りになっていた。

 エルピー、エルピー、エルピー、エルーピー

そのフレーズが後に世界を一世風靡するイギリスのロックバンド、Beatlesのまた空前絶後のヒット曲「レット・イット・ビー」だとわかるのは、およそ3年後のことだった。中学に進学して数ヶ月後、秋田県秋田市からの転校生からビートルズの存在とその音を、当時、オラだちには破格のでっかいゴージャスなステレオプレーヤーで聴かされ、度肝を抜かされた。

 「オチボ、まずは、これがら聴いでみるが」

秋田からの転校生、庄司アラタがターンテーブルにレコードを置き、プレーヤーのスイッチを押し、針が回る丸いビニール盤の溝に落ちる。針が溝に擦れる音をすっ飛ばして黄色いようなギターの音がでっかいぶっ飛び出す。甲高いけど低音の効いた男の声が刺すように響いた。

 オーイエーアー、テルユーサムシング!!!

その第一声から何曲聴いたかわからない。知らぬ間に帰宅の時間になり、オラは庄司アラタの家から太素塚裏の路地を自分の家まで自転車で走らせた。ともかく大変なことが起きた、その実感とともに太素塚裏の樹木をみながら自転車を走らせた。その時の興奮とともに走り抜ける木々の残像と鳴り止まない我が鼓動を今でも映画のように忘れらるない。

ーーーーー

というわけで、太素塚裏の正面から左側にあった秋田からの転校生、庄司アラタの家の近辺を、あの時聴いたビートルズの曲から、

 「抱きしめたいエリア」または
  「抱きしめたい地区」

と呼ぶこととする。

そして、「レットイットビー」が聞こえたり、口づさんでいた大工衆がいたあたりの路地を、当時のオラや仲間たちの発音通り「エルピー通り」と呼ぶことにします。

  エルピー、エルピー、エルピー、エルーピー

 

同世代のキミへ

地域に関わらず、同年代のあなた!
同じようなフレーズで歌った記憶ありませんか?

 

Let It Be (Remastered 2009)
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