「新宿ゴールデン街から風が吹く」(Facebookからの転載日記)【本日の読書日記】2022/02/12(1月19日水曜日から週末22日土曜日までの風と光) ㅤ

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眞暗闇に何處の隙間やらより入り來る一道の光明、
四面楚歌の聲の内に細々しく洩れ聞ゆる同情の聲は何。
その因って起る所こそ明らかならざれ、
その達する所は確かに我なりと知らば、
人生 何か失望すべき。”
上記は、
青森県十和田市新渡戸記念館
「一日一言」 新渡戸稲造 著
新渡戸記念館Facebookページ 2022年1月19日 より
 ★
引用したのは、
青森県十和田市 新渡戸記念館がフェイスブックページから発信する

新渡戸稲造 著「一日一言」の1月19日の一言の文。

久々、颯爽としたデジャ・ブ(既視感)の風を
東京の街角ですぅー--っと浴びた気分でした。
上記の美しい綴りを風景として再現するが如く、
まさに我が心に風が吹き、一道の光明が差した。
不定期に連載されている
新渡戸記念館の「一日一言」の
現代文に意訳したものとともに、
写真で掲載された原文を見て、
その意味するところもさることながら、
写真で紹介されていた旧漢字で記された文体、
その字面がとても美しく、
幾度も読み返しながら、気分よく過ごしていた。
事が起きたのは、
その翌々日の土曜の朝。
目が覚め、日課として時間とニュースを確認するため
枕もとのiPhoneの画面を見る。
と。何と、そいつが真っ黒で、
まったく動作しない。
この現象の最初は昨年末に起きた。
これで3回目の出来事。
前回までの2回は、
ネットで見つけた処方を施し、
割合すぐに無事復旧した。
が、3回目の今回は、駄目。
もはやこれまで、と、
決心して修理屋に電話。
午前中に予約して、
隣町 吉祥寺の店舗に行く。
やれやれ同じようなことが続くのだった。
昨年末から年明けにかけて、
運転免許証他、貴重品一式入ったカードケース紛失、
警察に届け出、
役所で身分証明書を発行し、
運転免許証と健康保険証を再発行したり、と、
ともあれ、年末年始を跨いだ移動、手続き、
余計な費用と無駄な時間が費やされて
嫌気がさしていた。
その続きがこのiPhoneだ!
と、マジに嫌気がさしていた!
のだが、
不思議なことに、
心は意外に落ち着いていた。
というより、
ドライブするように弾んでいた。
年末から続く、
トラブルを吹っ飛ばすような
不思議な確信があった。
自分は上手くゆく。
ともかく、そう決めたのだった。
その裏付けは何もない。
ただ、あたふたする自分が嫌になったのだ。
このような気分になったのは、
人生の中で何度かあった。
10代で失恋した時、
最初の大学を辞めようと思った時、
広告業界を目指そうと思った時、
勤め先の広告会社を辞めようと思った時、
経営した飲食店の閉店を決めた時、
そして、

絶対に今、人生を変えるのだ、という裏付けもない、決意

今、自分の前に起る予期せぬ変化は、
希望の未来へつながるのだ、という。
徹底的に情熱的で投げやり、
かつ、建設的決意。
このままでは、自分はおかしい。
腹が立って、腹が立って、
ともかく、
絶対に今、人生を変えるのだ、
という裏付けもない、決意だ。
ㅤㅤ
昨年末に紛失した
運転免許証類一式も
無事警察に届けられ
我が懐に帰ってきたばかり。
その延長のような気分で
壊れたままのiPhoneの修理費を修理屋へ払って
ええい、機種変更買い替えだ!と
スキップする気分で
家電店へ向かったのだった。

風が吹いている。

そして、1月19日に読んだ、
新渡戸稲造「一日一言」の文中の
目にも美しいフレーズがループする。
(ってほど、覚えきっちゃいないけどね)
「我が心を吹き通る一陣の風」
「何處の隙間より入り來る一道の光明」
「細々しく洩れ聞ゆる同情の聲」
そして私は、
新たなiPhoneで世界を変えるのだ!
そうだ、今、スティーブ・ジョブズが気にかかり、
いきなり本を数冊買って、
まだ1冊の半分しか読んでいない。
が、iPhoneを作った男を読破する、
そして、俺なりのiPhoneを作る、
と決めたのだ。
吉祥寺のヨドバシ行って、
機種変更決めて、
契約のための確認やら
何やらで計3時間かかる。
途中、製品受け取りまでアイドルタイム。
店舗を出て、
ふらふらと商店街を散歩する。
風が吹いている。

さんざん無駄骨ばかりだが、しかして、なにやら、気分は悪くない。

なじみの靴屋のあたりで、
懐にあるもう一台の電話、
仕事専用のガラケーが鳴る。
見れば見知らぬ電話番号。
通常なら絶対出ないが、
何故か気分が軽いので、
着信して、電話機を耳に当てる。
「ハイ、坂田です」と最初から、
こちらから名乗る。
「もしもし、誰だかわかる?」
と女性の声。
「え?  もしかして。。。」
すぐにわかった。
新宿ゴールデン街の「〇どじ」のおねえさん。
嬉しくて、死にそうだった。
おそらく10年以上も、まともに会ってない。
「今ね、コロナでね、お店もお休みなんで、名刺見てたのよ。
 そしたら、あなたの名刺が見つかって、
 どうしてるかなって、かけたのよ」
泣けた。

本当に泣けた。

10年もぜんぜん店にも行ってないし、電話もしてないのに、
なんでこんな時に思い出して電話するんだよ!!
新宿ゴールデン街の「こ〇じ」は、
20代の広告代理店勤め時代から、
勤めながらの文学演劇放浪の懸け橋であり、
30代中盤からのフリーランスでの突破口となった場所。
なんで、今のタイミングに?
ともあれ、我がクリエイティブというか、ものづくり、仕事の突破口である新宿。
その新宿からの光と風が、ス―――っと入ってきた、のである。

短い間、おねえさんと話した。

今のコロナ。オミクロンの話。
「オレ、今、まだマーケティングをやっているよ!
 インターネットでやり方全然変わったけどね」
といったら、お姉さんは喜んでくれた。
お姉さんは、オミクロンのせいで、お店の経営は少し休んでいる。
「けど、絶対、負けない!」と言った。
私も、マーケティングをやって、まだまだ、もう一回、
「オレも、絶対、負けない!」といった。
「そうよ、そうよ、絶対、そうよ!負けないわよ!」
そうだ、お姉さんの強気は、
まったく破格だったのを思い出した。
お姉さん、ありがとう!!
その後、量販店のヨドバシにいって、iphone13pro Maxを買ったぞ。
新宿から、まさに失意にあるべきだった吉祥寺のオレの心に、
新宿からの、一陣の風、が吹き。
時の隙間から、一道の光明、が差してきた。
明らかに、失意の我に、達してきたのである。
この数年で、失くしたものは
確かに、多く、重かった。
が、
失くしたものは、
新宿を通して、一気に返ってきていた。
昨年末に道端に落としたはずの、
どろどろのカードケースを拾った落とし主は、
謝礼を断り、警察に届けてくれた。
免許証と保険証と数々の医者の診察券や両親や家族の写真が入った
ドロドロのカードケースの旅路を考えると
あまりに感謝の思いが過ぎて、喜びの気をゲロゲロ嬉しく吐きそうだ。10代の酒飲みは、そんな感じでゲロだった。
そんな心優しい方の伝手で
大切なものが届いてくれてあまりに嬉しい。
涙というより、
この世をつないでいる
人情、というものの存在の確証を得る。
自分は活かされている。
その確証である。
一人であっても独りではない。
という、
なんたるか、中学生の生臭いザー〇ンの如く、
まだ自分は大人のようで未熟なのだ
という、生命体という微熱がかった
感覚が妙にうれしい。
(この湿ってまごまごしたレトリックが、俺だ)
(中学生の俺だ)
(中学生は、チューが臭せえ)
昨年末ぐらいから
つづくその感覚のついでに、
前日に呼んでいた
インターネットで届く
新渡戸稲造の随筆の言葉が
響き続けていて、
やけに心地良いのだった。
それは絵のようで、音楽の用で、
有機体の如くわが身の奥に染み入り、ループしていた。
(中学生は、チューが臭せえ)
絵的に見てもらいたいので、
敢えて、写真で公開していただいた書籍の
原文を拝借してもう一度、タイプしてみる。
まるで、絵のように。
 ★
“求めざるに不圖我が心を吹き通る一陣の風、
眞暗闇に何處の隙間やらより入り來る一道の光明、
四面楚歌の聲の内に細々しく洩れ聞ゆる同情の聲は何。
その因って起る所こそ明らかならざれ、
その達する所は確かに我なりと知らば、
人生 何か失望すべき。”
実に実に、絵的な文章だ。
あれ、ここは確か、知っている場所、
どこかで触れた空気、風、
久々に、そんなデジャ・ブ(既視感)のような
感覚に遭遇し、またそれがあまりに、
ちっぽけだけど劇的な出来事だった。

(中学生は、チューが臭せえ)ㅤ

先の原文の現代文への意訳が、また粋なのである。
それもここに〇〇ソックリ引用する。
 ★

「一道の光明」

〔現代語〕
  自ら求め無いのに、
  ふと自分の心に
  吹き通る一陣の風。
  真っ暗闇に、
  どこの隙間からか
  入ってくる
  細い一筋の光明。
  四面楚歌の声の中に
  ほそぼそしく漏れ聞こえる
  同情の声。
  これは何だろうか。
  それが起こった
  元となる所が
  明らかでなくても、
  その声や光が
  届いたところは、
  確かに自分なのだと
  気付くなら、
  人生に
  何を失望することが
  あるだろうか?
  いや、無い。※
※最後の「いや、無い。」の断言こそが、名訳中の名訳である
ㅤㅤ
青森県十和田市新渡戸記念館
「一日一言」 新渡戸稲造 著
新渡戸記念館Facebookページ 2022年1月19日 より
電話が壊れたこと、お金がかかったこと、
新しいiPhoneの操作が面倒くさいこと、
新宿ゴールデン街からの未来への電信、
すべてやり直し、整理のタイミングとなる。
これほどまでに、人情の光と風に励まされて、
何をしょぼくれることが
あるだろうか?
いや、無い。
(真似っこ猿)
M子女史、ありがとうございます。
※写真は、そこそこ昔の青森県十和田市の繁華街・東三番街。新渡戸記念館から歩いて5~7分。今は寂しい繁華街となりましたが、かつては怖いパンチパーマのお兄さんが客引きして、結構怖いこともある繁華街でした。が、楽しかったな~。私が勤め人時代に帰省した際に寄っていた「スナック由香」も今はない。(ホントは小〇川先生のアジトだったんだけど)。由香ママさん、チークダンスをもう一度。そして、
(中学生は、チューが臭せえ)
ちなみに
(小学生は、ショーが臭せえ)
以上、フェイスブック2022年2月12日分より転載 
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