記憶の中の「岬」

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夏の暑さが弛むと、
中上健次の語っていた路地を思い出した。
はじめて中上健次の小説「岬」を読んだ時、
その物語の舞台、和歌山新宮の描写から、
不思議と我が郷里、青森県十和田市を連想した。
「岬」は、土方の小説である。

土方衆の実像

我が父も、土建屋勤めで、我が家にはよく仕事を終えた土方衆が集まり、酒を飲んでいたのをよく覚えいる。
だから中上の土方衆の描写が、とても身近に理解できた。笑いと怒りと汗と涙が七輪のバラ焼とともに燻っていた。
物理的には土方衆と百姓によって開墾された十和田市、旧三本木の歴史の実像は、土と石の実像がわからなければ、わからないだろう。
中上健次は、後に被差別部落と自ら明かす故郷の「路地」の歴史を土と石と土方の実像的描写によって明かした。
十和田市三本木は、同様のそれをやらない限り、歴史的価値はしぼんでいくだろう。

「(主人公〕秋幸は土方が好きだった。」
(中上健次の小説の一節より)

思い出して中上健次に関するドキュメンタリーを久々見た。

そうだ!この空気感が我が少年時代の十和田の風景に似ているのである。

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