追悼若松孝司監督。30才を迎える直前の新宿の広告代理店に勤めている1990年頃、凹みに凹み、どうにもならない時に原田芳雄主演の「我に撃つ用意あり」を観て奮起した。
原作の小説のタイトルは「真夜中の遠い彼方」佐々木譲作で。映画も原作もタイトルに痺れた。
中国・台湾から逃れてきて(いや実はタイだったか?)、新宿のヤクザにも追われている少女を全共闘上がりのバーのマスターである男が一人助けるというもの。
しかもその日はその店の閉店日。かくまった少女のメイリンにサンドイッチを食べさせる。そして、その少女がそれを食べるシーンが異様に長くて、ただ食べるというシーンの中にあるやさしさとか深い対話を感じで、泣けた。
人が食べているシーンで泣かせるなんて、本当に命をとっている監督なんだな、と思ったね。
若松さんの映画は沢山見ていないけど、あのメイリンがサンドイッチを食べるシーンの意図を若松さんに直接聞きたかった。
高円寺のとある一杯飲み屋の常連であることを同じ常連である友人から聞いていた。そこにいつか近々捕まえにいこうと思ったのに。
原田芳雄に若松監督、残念だが、こうなったらもはや自分で動いて、何かを作るしかない。映画のように押入れの奥にピストルは隠してはいないが、パンツの中にはタマはあります。
バブルのサーフィンに乗ってずっこけてから転がり続ける新人類、もう一回自分の足腰で直立すべきと思うぜナイトフィーバー。
ともかくタイトルがカッコよすぎるよ。
パンフレット大切にとってあるよ。
我に撃つ用意あり。
Ready to Shoot. Just Do it!
『われに撃つ用意あり』(われにうつよういあり)は、1990年11月17日公開の日本映画。監督は若松孝二。松竹と若松プロダクションが共同製作し、松竹の配給により公開された。カラー、ビスタ。上映時間106分。