【本日の読書日記】2021/10/13
「新渡戸稲造、と、天才お笑い芸人の、読書」
又吉直樹の小説「火花」芥川受賞作 より。
主人公の売れないお笑い芸人の徳永に、
憧れの先輩芸人 神谷が、
自分の伝記を書かせるために
読書を勧める、件。
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「俺の伝記を書くには、文章を書けんとあけんから本を読んだ方がいいな」
神谷さんは本気で僕に伝記を書かせようと思っているのかもしれない。
僕は本を積極的に本を読む習慣がなかったが、無性に読みたくなった。神谷さんは早くも僕に対して強い影響力を持っていた。この人に褒められたい、この人には嫌われたくない、そう思わせる何かがあった。
神谷さんはコロッケを箸でつつきながら「俺は本好きなんやでと」嬉しそうに言った。
小学生の頃、図書の時間に他の同級生たちが「動物図鑑」や「はだしのゲン」の取り合いをしている中、神谷さんは偉人と呼ばれる人たちの人生が綴られた伝記を貪り読んでいたらしい。ね
「絵はな、表紙と途中に少しだけやったんちゃうかな。あとは全部活字」
神谷さんは活字が多い本だったことを強調したいようだった。「新渡戸稲造が何者か知ってるか?」
「五千円札の人ですよね?」
「そうや、あの人も色々やった人やねんで。そんなんも書いてたわ」
「そうなんですね。何をした人なんですか?」
「忘れたけど、読んだ時は感心したん覚えてる」神谷さんはいかに伝記が面白いか熱弁を振るった。神谷さんの言葉によると偉人が成し遂げたことは文章上でも凄いとわかるのだが、その人となりは大概が阿呆であるらしく、自分の伝記があれば皆が驚くと幼き頃に思ったらしい。
以上、
又吉直樹 著「火花」文春文庫 より(19P~)https://amzn.to/3iUYWgg
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上記の如く、
新渡戸稲造の功績と表現の面白さ、すばらしさは非常に多岐に渡り、
表現は詩的で抽象度が高いため、
感性の高い阿呆的な天才系が理解者になるのではないか。
などと、最近、つくづく思います。
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ちなみに、、、、、、
うちのばあちゃんは
「パフェ」のことを
「フェア」という。
気持はわからなくもないんだけど。
以上、
「いいまつがい」糸井重里 監修
ほぼ日刊イトイ新聞 篇 より
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へだばな!!
(「へば」にちょっと名残惜しさをくわえてみました)